くらけん

Ryuichi Sakamoto | Opusのくらけんのレビュー・感想・評価

Ryuichi Sakamoto | Opus(2023年製作の映画)
4.2
Ars longa, vita brevis

教授のラストコンサート。
彼自身が音響を監修した109シネマズプレミアム新宿で鑑賞。

劇場内クラシックコンサートのような静けさ。

中盤、離れたところからいびきが聞こえてきた。

わかる。

これは良い意味で眠りたくなる贅沢なひとときだ。


インタビューくらいあるのかな?と思ってたがそれもなく、淡々と、時に激しく鍵盤と向かい合う姿をひたすら映し出す。

演奏に失敗してやり直す姿もリアルで良かった。

音楽ライブというよりもこれはドキュメント。
これが遺作となるだろう覚悟が垣間見える。

もちろん映画のようなストーリーは
ないので、序盤は映像と音に身を委ねる。それに慣れてくると、次第に意識が自分にフォーカスされ、いろいろ考えてしまった。

学生の頃のこと。
仕事のこと。
家族のこと。

将来のこと。
いつか訪れる、死のこと。


音楽と記憶は、密接に紐付いているのかもしれない。


「芸術は長く、人生は短し」


より良く生きたい。そう思った。
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