記録
【2023年のアメリカン・ニューシネマ…?】
これはアメリカン・ニューシネマだ!と言ってしまってはいけない、あの時代の空気を捉えてはいるだろうが本質的に違う。確かに、60,70年代のニヒルな雰囲気は十分に演出できているが、あくまで演出にしかすぎないのだ。あの作品群に蔓延っている倦怠感・虚無感は本作には宿っていない、しっかりと作りすぎてしまったからだろうか。いや、まずあの時代特有の虚無を宿らせることは不可能なのかもしれない。兎に角、ちゃんとしているが故に惜しい映画であるなと思う。
インスパイア元の性質上、インタビュー形式を取るのは当然だったのかもしれないが、そのせいでテンポが悪く感じてしまう。
そして何より残念なのがバイクの撮り方がそれほど良くないことで、運動性が損なわれている。とはいえ、普通な映画である。だがしかし、普通な映画であるから残念なのだ。
やっぱり俺はモンテ・ヘルマンのダラダラした『断絶』が好きだと思ったし、あれにこそ本当の虚無が宿っているだろう。まぁそれにしても、オースティン・バトラーがイケイケなので何でも良いか〜。
2024,285本目(劇場173本目)12/4 TOHOシネマズなんば