理解しているつもりでいるだけで本当のところ何もわかってはいないという現実を突きつけてくる極上のブラックコメディ。
多様性や平等を偽善的かつ声高に謳い迎合する社会を皮肉たっぷりに描き、家族の物語でも当事者間は感情が先走り自分の意見を押し付けがちで客観視することが難しいが側からみるとよく見える。
白人の免罪符、確かに。
劇中劇のラストは…完璧だと思ってしまったしあの終わりを求める観客の1人として、ステレオタイプを受け入れて様々なものを粗末に消費しているのではないかと省みる。
文学賞選考会も白人の視点でしかなく嫌味たっぷりでシュール。映画のラストも何処までが虚構なのか混乱させながら強烈な皮肉で枯れ葉に乗せた哀愁が良い。
途中に出てくるジョニーウォーカーの例えはわかりやすく素晴らしい。
見下しているつもりはなくても無意識・無自覚に見下しているかもしれないことを頭の片隅に置いて生きようと思ったし(それも偽善?)
アカデミーノミネートは風刺のきいた良作だけでなく白人(ハリウッド)の免罪符?