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アメリカン・フィクションのスターのネタバレレビュー・内容・結末

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

(ネタバレあり)
 面白かった。黒人の大学教授で売れない作家のモンクは、ニガーという言葉を不用意に使い、使うべきでないと指摘した白人の学生に対するストレートすぎる物言いがたたり、強制的に長期休暇を取らされて、故郷のボストンへ。
 そこで仲の悪い兄や、認知症の始まった母親と久々に会う。
 モンクは以前から出版社から「黒人作家らしい小説」を書くよう要求される事に閉口しており、書店で作品の方向性と関係なく、黒人作家の本が「アフリカ系アメリカ人作家コーナー」に陳列されているのに憤慨し、勝手に自分の著書をそのコーナーから移動させようとする。
 モンクのキャラはアメリカの映画や小説にたびたび出てくる「愛すべき困ったちゃん」。彼なりの信念があって、その思想通りに言動を展開するが、周囲には理解されない。
 そんな彼がやぶれかぶれになって、逃亡中の犯罪者が書いたという嘘の触れ込みで、黒人の貧困と犯罪をテーマにした本を書き、出版代理人を通じて出版社に売り込む。
 相手にされないだろうという予想を裏切って、白人の編集者は喜んで書籍化を通告してくる。

 類型化された黒人像に反発するモンクの生き方を、時にはシリアスに、時にはコミカルに描いた傑作。
 個人的には声をあげて笑うような台詞が多くて満足でした。内容と直接関係ないけど、日本語字幕の変なところにクエスチョンマークが何回も入ってたのが気になりました。
 バグなのか? 誤植なのか?
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