後入れかやく

アメリカン・フィクションの後入れかやくのネタバレレビュー・内容・結末

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

 黒人の悲劇や今もなお無くならない人種差別が「白人が罪悪感をもつための物語」として消費されることを的確に鋭く風刺しつつ、決して「これだからポリコレは・・・」みたいな陳腐な批判にはならない品がある(汚い言葉は多かったけど笑)。
 今年のアカデミー賞授賞式でのアレコレを思い出しつつ、モンクの語る「黒人の可能性」に対する「可能性とは、目の前にあるものが十分でないと考えたときに見える」という言葉、そのあとに一瞬訪れる静寂が、私にも立ち止まって考える機会を与えてくれる。一人の人間として、考え、悩み苦しみ、それでも生きていくという営みさえも私たちは共有できないのか。認められないのか。現状を見るに、確かにこれは「十分ではない」のだと思う。