ノットステア

アメリカン・フィクションのノットステアのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
3.9
○アマプラ紹介文
侮辱的な表現に頼る“黒人のエンタメ”から利益を得ている世間の風潮にうんざりし、不満を覚えていた小説家が、自分で奇抜な“黒人の本”を書いたことで、自身が軽蔑している偽善の核心に迫ることになる。



○感想
ジェフリー・ライト主演。ジェフリー・ライトといえばダニエル・クレイグ版007のフェリックス・ライター役の人。

今作のテーマは「ステレオタイプ」。
黒人作家が自伝的な物語のふりした作り話を小説として出版する話。階級高い知識人だがあまり本は売れていない。逃亡中の犯罪者のふりして小説を書くとこれがベストセラーになってしまう。

黒人に限らず、マイノリティや危険にさらされている人の作品(以下、列挙)をこれまでいくつか積極的に観てきた私にとって考えさせられる作品だった。
『隔たる世界の2人』
『シターラ:夢を抱け、少女たち』
『彼方に』
『警察と泥棒』
『キリング·オブ·ケネス·チェンバレン』

いや〜、僕の想像力の欠如だった。
売れた後に、実のところ実験的な作品でした〜って言えば、、、許されるんじゃない?と思いながら観たんだけど。。。
貧困層出身のふりしてステレオタイプな小説を書いたら売れるか試しちゃいました。私はそれなりの階級で育ってまして、この作品は想像で書きました。書いたあとはなんとなくのイメージで逃亡犯を演じていました。話し方とか言葉遣いとか行動を真似してきました。みなさん、これを読んで良い作品って言うってことは、結局みなさんが求めてるのはこういう免罪符ですよね〜。
ってそんな言ったらバッシングされちゃうか、、、
え〜どうなんだろ、そら怒る人もいるだろうけど、、、



○印象的なセリフ
出版社に売り込むエージェント「白人が求めてるのは真実ではなく免罪符だ」

主人公モンク「ステレオタイプの黒人を望んでるなら遅れたほうがいい」


主人公モンク「罪悪感から逃れたい白人のために書かれてる。」
売れっ子黒人女性作家シンタラ「批評家は"傑作"と言うけど、中身はない」

主人公モンク「だが俺はこの国の黒人の可能性を信じてる」
売れっ子黒人女性作家シンタラ「"可能性"って現状に不満を持つ人が使う言葉よ」

審査員「影響力があるってだけじゃない。今こそ黒人の声に耳を傾けるべきよ」

以下、あらすじ
















○あらすじ
ジェフリー・ライト演じる黒人モンク。大学で教鞭をとっている。黒人蔑視の言葉を授業で使う。不愉快だと教室を出ていく白人学生。
→大学を休職させられる。

モンクのためにタクシーは、止まってくれない。黒人だから。

黒人女性作家シンタラ・ゴールデンという知識人生の書いた小説が共感を呼んでベストセラー
SINTARA GOLDEN "WE'S LIVES IN DA GHETTO"
※文法変じゃない?

モンクは実家に戻ることになる。まず、妹が働く病院に行く。金属探知機。
母アルツハイマー発症。施設に入れるしかないが、金がたくさん必要。
妹急死。
弟はゲイでドラッグ使用者。
父は過去に拳銃自殺。
家族全員医者。
家政婦は家族同然だが、恋人がおり、結婚することに。
モンクに新たな恋人ができる。

モンクは酒を飲んだタイミングで作家名を変え、普段の自分なら絶対に書かないようなステレオタイプの黒人の小説を書く。
出版社に売り込むエージェントが乗り気。出版社から高額もらえることになる。
モンクはエージェントのせいで、実体験に基づいた話かつ、自分は逃亡犯だということになってしまう。
映画化も決定。

モンクは注目されないように、タイトルを『FUCK』にしないと出版を許さないと言う。渋られるも、結果として、話題になってしまう。

モンクは文学賞の審査員をすることになる。審査員に選ばれた理由は多様性。一度断ろうとするも引き受ける理由は駄作にダメ出しするため。

『FUCK』を恋人が読んでいて、しかも高評価していることに納得できないモンク。恋人と喧嘩別れ。

『FUCK』が文学賞にノミネート。
モンクとシンタラは話をする。『FUCK』と"WE'S LIVES IN DA GHETTO"は何が違う?モンクは同じだと言う。シンタラは『FUCK』には魂がないと言う。"WE'S LIVES IN DA GHETTO"はちゃんと調べて執筆した、と。※たしかに、『FUCK』は書いた本人が乗り気じゃなかったし。。。
モンクとシンタラは反対するも『FUCK』が受賞。

授賞式でモンクは『FUCK』は自分が書いたのだとスピーチ。しかし、そのスピーチ内容は描かれない。
場面転換。映画化の白人監督がラストに不満を示す。モンクはラストを変える。
『FUCK』が受賞後、モンクは会場から飛び出し恋人の家へと向かう。仲直り。
これも監督は気に入らない。実際、恋人はモンクの電話に一切出ない。
別のラスト。モンクは自分が授賞式でスピーチするために登壇。するとFBIに撃ち殺されてしまう。
監督採用。