シネマスカイウォーカー

アメリカン・フィクションのシネマスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
3.9
大学でアメリカ南部の文学を教えていた小説家のモンクは黒人の立場から「白人の黒人に対する過度な配慮とイメージ」というものに嫌気がさす日々を過ごしていた。黒人=ギャング、ドラッグ、ラップ、社会不適合などのイメージとそう言った人達の感動ストーリーが求められる文学の白人市場についても嫌気がさしていた。世間、白人層がイメージする黒人像を求められる世の中で自分の書きたいものを書いていたモンクだったが、世間は優等生な黒人の物語など必要としていなかった。有給をとり執筆に専念することになったモンクは思い切って自らが否定していたいわゆる黒人的なストーリーを遊び半分で書いてみることに。するとその本が爆発的なヒットを記録する。勤勉で学識のあるモンクだったが、作品のイメージを損ねないように出版社との取り決めで顔出しNGの犯罪者ギャングスターを演じることになるのだった....


ブラックカルチャーに対する世の中的なステレオタイプに嫌気がさす主人公がいかにもな黒人ストーリーを書いてヒットしちゃう話。ジェフリーライトのどこか世間に飽き飽きした感じの演技が良い。ストリート、ドラッグ、銃、ヒップホップと全ての黒人がそうだと思われている世の中に対するカウンターとしてユーモラスに描いている。黒人だろうが白人だろうが、共通して親の介護や隣人関係についての苦難を乗り越えているんだぞという描写や医師や大学教授として仕事をしているシーンは観客の黒人に対するイメージを払拭する形となっている。
最後の映画化についてのシーンも興味深く、ステレオタイプな黒人カルチャーについての同情が映画化にまで発展したというシーン。監督の白人は黒人に対しての白人層としての負い目的なものを映画化する訳だが、アシスタントのアジア人には酷い対応をするシーン。結局は差別を根絶しようという根本の解決なんか考えていない、それが潮流であり、ブームであるからこそ黒人を敬う、黒人を大事にするという悪しき白人リベラル的な偽善描写が盛り込まれていた。まあ、こう言いきってしまうのもいわゆるなステレオタイプなのかもしれない。