期待していたアンドリュー・ヘイの新作だったので、ピンと来なくてビックリ。『WEEKEND』も『aftersun』も『異人たちとの夏』も好きなので、組み合わせが今ひとつだったとしか…。原作踏襲とは言えあんなマンションに2人しか住んでないとか有り得る?みたいなことから気になってしまった。
寄席の客席から亡くなった父に似た声が聴こえたとか、仕事場のマンションに他に人が居なかったとか、山田太一の個人的な経験や想いから生まれた物語を、他者が私小説的な物語として流用するのはさすがに無理があるのでは。両親との再開の導入もちゃんと描かれないから、終始、現実感が失われた感じが。
アンドリュー・スコットとポール・メスカルの演技は文句ないし、ここまで同性同士の肉体性をしっかり描いた作品も少ないと思うので、意義深いとは思うが、ならばオリジナルでも描けた話だと思った。大林宣彦版の永島敏行の役も現実との境を見せる意味で必要だったのでは。最後のレストランシーンも…。