異人たちの麻衣のネタバレレビュー・内容・結末

すごく良かったなと思うのに何書いていいかわかんない。
孤独は同じく孤独を抱える他者と一緒にいることによって解消されるものではないし、抱えている孤独は人によって違う。アダムは、交通事故で父母を亡くした寂しさとセクシュアリティによる悩みとが絡みついてしこりになったのだと自己分析をしていたけど、ハリーにはそれとはまた違うハリーの孤独があったんだろう。
結局のところいろんな方法で折り合いをつけながら、孤独を抱えたまま生きていくしかない。それが彼の想像上の出来事であったとしても、アダムはしこりが生まれたそのときに戻る。傷は傷のまま、孤独は孤独のままではあるけれど、少しだけ違うメンタリティで生きる方向に歩み出しているように見えた。過去の辛い出来事を思い出して、あのとき私は辛かったよなとか、でもそのなかでもあれは良かったよなって認めるだけでも十分癒しの力がある。
とはいえ誰かの孤独を癒し、誰かに自分の孤独を癒してもらいたいと願ってしまうものだけど。愛する人にはなるべく辛い思いをしてほしくないし、わりと真面目に私が守るという気概を持ってはいる。ハリーは孤独のまま死んでしまったのかもしれないけど、それでもどうかアダムの目の前にいるハリーの孤独や絶望が少しでも和らぎますようにと願わずにはいられなかった。
みんな異人という点ではみんな同じかもしれない。これはちょっと希望が持てるかも。
Always On My Mindの歌詞、心当たりがありすぎて耳が痛い。