トウ

異人たちのトウのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
-
手前↔︎奥のレイヤーを感じさせる構図の連続が個人的な存在を際立たせる。その構図の中に鏡やガラス窓が加わって、個人のコントロールできない個人までをも映し出す。世界は何重にも重なった個人の集合であるという印象を強めていく。同じレイヤー内に存在することが意味を持つ。星野源『ばらばら』へのアンサーみたいに受け取った
めちゃめちゃ大好き最高ありがとう

大林版『異人たちとの夏』観て追記。かなり別物だったし、やっぱ今作は最高。大林版は時期がお盆って設定に端を発して死者たちが怪異として扱われてる一方、ヘイ版はアダムが脚本家、昔の音楽番組を観るのが趣味というところで、死者は思いを馳せる対象、記憶、呪いとされてる。アダムが見た両親はアダムが創作活動の中で向き合った呪いで、ファンタジーとかではないと思った。アダムが見た両親は記憶と願いが混在しているのだろう。その記憶の旅の一助になっているのが、昔の音楽番組なんじゃねえかなわかんねえけど。そのときに聞いていた音楽と結びついた記憶があるように、両親を思い出させる。ハリーと向き合うためにアダムは自分の呪いを解こうとするし、ハリーはその呪いを解くための力になっている。アダムはこれからハリーの思いをも抱えて生きていくし、それはこの先を照らす光になる。この辺はまるっと大林版にはなかった要素だった。
アンドリュー・ヘイが「個人的なことを詳しく語るほど、奇妙なことかもしれないが、それは普遍性を帯びるのだ」とインタビューで話していて、クィア映画だとかなんだとかほざくことって本当にくだらないと思った
トウ

トウ