漠然とした不安とか寂しい気持ちって常にある訳じゃなくても、例えば休日ソファの上でだらだらして過ごしている時とか、突然襲ってきたりすることがある。
冒頭から、台詞などはなくとも伝わってくる主人公の気持ちを自分に重ね合わせて見ていた。
生きている中で降りかかる、辛いことの大抵は時の経過とともに癒えていくものも多いが、孤独や喪失感はそうはいかない。今はもう会えないあの人との大切な思い出や、言えなかったことしてあげられなかったこと(それだけじゃなく、言って欲しかったこと分かってもらいたかったこと)後悔だって胸のどこかで抱えて、折り合いをつけて自分はこの先も生きていかなければならない。
そんな寂しさをこんなにも優しく描くことができるのかと、涙が出た。
個人的には、自分がまだ学生だった頃に亡くした父のことも重なった。当時は夢に出てきて、起きた時に泣いていることがよくあった。
この寂しくて辛い気持ちは一生消えないのかと思っていたが、今では泣いて目が覚めるようなこともなくなり、ごくたまに夢に出てきて、この再会は束の間だけだと何故か夢の中で分かってもいて、また会えた嬉しさなどで寂しくも温かい気持ちになるくらいだ。
死者と別れるということは、もう一緒には出来ないことがある一方で、しなくてはいけないことから解放されるという側面もあるのだと改めて思い知る。
どこか展開の読めなさに少し怖くなりながらも、終わってみればこんなにも、生きている人も、死んだ人も、もしかしたら自ら命を絶った人も、全ての人に寄り添い抱きしめてくれるような物語だったことに気付く。