iroiro

異人たちのiroiroのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
3.9
観終わった時、どういうことか考えた。今も答えは出ていない。確かなのは、この映画は人間の孤独を描いているということ。

主人公は両親を亡くした悲嘆=グリーフと向き合い、そこで二人から受容されたり、拒絶されたり、謝罪されたりすることで癒される。閉じた自分の世界を開いてくれた恋人の存在にも助けられやっと生きていく力がわく。しかし、異人の存在に頼り、現実をおろそかにした結果、悲劇が起こる。

私たちはみな孤独で、今ここにいない記憶の中の異人としか真に愛し合い、分かりあうことはできないのだろうか。そこに永遠があるのだろうか。生きている時にはお互いに表現できない優しく温かい許し。それこそが求めているものなのに。

痛烈な孤独に打ちのめされながら、それは共通の人間性の一部であることを深く感じる。異人たちを抱きしめながら生きることを選んだ主人公を見て、何を感じるだろうか。
iroiro

iroiro