ASUKA

異人たちのASUKAのネタバレレビュー・内容・結末

異人たち(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

人との関わりを求めず、辛い過去を抱えながら独りで淡々と暮らしていた中年のアダム。
ある日、隣人が急に尋ねてくる。このタワマンには自分たちしか住んでいないし、静かすぎて怖くない?一緒に過ごそう、とねっとりナンパ。
静かにあしらったその後、なぜか潜在的にあった死へ対する概念が呼び覚まされてしまう。
それは小さい頃に事故で失った“両親”という形を以って。

時間と心を埋めるように過ごす“両親”とのひととき。
その身、父との会話も母の心配も、誰もが考え得る”親子の会話”で想像の域を出ない。これは現実なのか自分の書いている物語でしかないのか。
永遠じゃないのもどこかでわかっている。だって生きてたって永遠なんてないのだから。
でも麻薬のようにこのやすらぎは自身を満たして離さない・・・


🥃


という解釈で鑑賞しました。

パートナーになったかもしれない唯一の隣人を失い、畳み掛ける孤独への抵抗として現れた死んだはずの両親。とパートナーとなった隣人。
要するに、自分で自分をケアしたハッピーエンド。言い方を変えると一人(独り)相撲だけど、アダムは“彼ら”という孤独を抱いてこれからも生きていくのだな。
あれ、やっぱり悲しい。

ざっくりしたあらすじ読んだとき、すごい面白そう!と思ったけど、面白がる映画ではなかったという意味では思ってたのと違ったけど、すごく好きなかんじの映画でした。
ハリーが酔って訪問してきたのには引いたけどね・・・なんでこの時アダムは優しく対応できるんだろうと思ったけど、歩み寄られることに慣れていないからかな。

終盤、ハリーを見つけハリーが現れたとき、なんか唐突に「羊をめぐる冒険」を思い出した。
で、がぜん日本のオリジナル版が見てみたくなったし、今回も良き映画体験でした。

あとツリーの飾り付けをしていたとき、お母さんが口ずさんでいた歌が知りたいな。
ASUKA

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