突然皆の夢に出てくる男になり時の人となるというトンデモ設定。
バズって超人気者になったは良いがその後夢の中の彼に襲われる夢を見る者が続出、大炎上し今度は皆から嫌われる始末。
バズりや承認欲求についての寓話としても面白い。
クリストファー・ボルグリ監督の前作『シック・オブ・マイセルフ』と共有できるテーマもあったが、個人のパーソナリティーな問題に焦点を合わせることでより社会的な病理も浮かび上がってくるような前作に対して本作は主人公ではなく世界が変わってしまうことで彼の内面を覗き見ている様な気持ちになった。
これをもし製作のアリ・アスターが監督していたら絶対R指定になる。というかボーになるのだろうか。
自分の意思とは関係なく勝手に皆の夢に登場してしまい様々な反応をもらう主人公は演じるニコラス・ケイジがネットでミーム化されたことによる戸惑いや不満を感じていた過去と通ずるので興味深い。
娘の演劇の発表会を観たいのに彼の悪夢を観ている保護者達が怖がっているからと入場を断られる、その時のもう笑うしかないという展開はやはりボーを彷彿とさせる。
要所要所で散りばめられる意地悪な笑いはアリ・アスター味を感じる。
近未来的なデバイスを使ったクリエイティブ風な集団のインチキ臭い感じなどは
監督らしくて面白かったが良い意味でも悪い意味でも観やすくなったアリ・アスターというかボーという気がする。
そして次回作もアリ・アスター製作なのか。