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ドリーム・シナリオのkabcatのレビュー・感想・評価

ドリーム・シナリオ(2023年製作の映画)
4.0
映画館で予告を見て興味を持ち観に行ったが、予想以上に面白かった。自分は何もしていないのに、他人の夢のなかでできあがったイメージによって人生を左右されるという、実に不条理・理不尽な物語であり、作中ではその理由も説明されないし、解決もされず、結末もまったくハッピーエンドではないのに、なぜか観終わったあとに楽しさと充実感を覚える不思議な味わいの映画だった。その理由の一つがトーキング・ヘッズのネタだと思うのだが、このバンドのことを知らないと面白さは半減してしまうだろうな。

サスペンス感はところどころにあるけれど、スリラーともSFとも言えない奇妙なファンタジー映画(とはいえファンタジーともいえないまったりさもある)で、最近のA24ものなかではなかなかのヒットだった。

ニコラス・ケイジは出る作品を選ばない、というイメージがある(その理由の借金はついに完済されたそうで、この作品は彼も喜んで出演しているそう)が、どんな役でもこなせるのは彼がそれだけの技量の持ち主だから。今回もポールという冴えない大学教授の役を実に見事に演じていた。彼なしではこの映画は成り立たなかっただろう。
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