MasaichiYaguchi

アメリ デジタルリマスター版のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

4.0
パリ・モンマルトルを舞台に空想好きな女性アメリの日常と不器用な恋の行方をポップな映像とブラックユーモアを交えて描き、フランスのみならず日本でも大ヒットを記録したロマンティックコメディは、誰もが自分はちょっと変わっていると思っている今の時代にマッチングしていると思う。
幼い頃から空想の世界で過ごしてきたアメリは、そのまま大人になり、モンマルトルの古いアパートに1人で暮らしながらカフェで働いている。
他人とのコミュニケーションは苦手だったが、偶然発見した宝箱を持ち主に返したことを切っ掛けに、誰かを少しだけ幸せにすることに喜びを見出すようになる。
そんなある日、アメリは他人の証明写真を収集する不思議な青年ニノと出会い、一目惚れする。
ジャン=ピエール・ジュネ監督の監修のデジタルリマスター版で22年振りにリバイバル公開された本作は、より赤や緑の色彩が鮮明になり、アメリという、或る意味「こじらせ女子」が行う素敵なお節介が、初公開当時よりもファンタジックに可愛く伝わってくる。
戦争や難民問題、物価高と、不安と不信感で過ぎていくこの頃、本作はアメリの手作りの魔法によって世界を少しずつ明るく、そして我々に勇気を与えてくれる。