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恐解釈 花咲か爺さんの消費者のレビュー・感想・評価

恐解釈 花咲か爺さん(2023年製作の映画)
3.2
・ジャンル
スラッシャー/サイコホラー/昔話/パロディ

・あらすじ
家を出て以来、疎遠にしていた故郷の家族の元に婚約者のケントを連れて帰って来たアンナ
しかし実家を踏み入れた時、目にした光景は極めて異様な物だった…
あたり一面に張り巡らされたブルーシート、立ち込める異臭…
そしてナイフを握った血まみれの男に遭遇する
男は父タケオが死に取り憑かれ笑わなくなった長女ミサキの息子ソウタを笑わせようと殺す為に連れて来られた人物だった
間も無く男はタケオの手で殺され、ミサキはアンナにこの異常な事態を説明する
孫の為の殺人の常習、家を出た自分を追った際に母が車に轢かれ死んでいた事…
更にケントがタケオに歓迎されながらも狂った家族から逃げようとした末に殺害されてしまう
ソウタを笑わせようにも万策尽きたタケオは妻の死に際が彼の最後に笑った時であった事からアンナを標的に定めようとする
それを受けて妹を逃がすべくミサキは親切な隣人シゲオの愛犬でソウタとよく遊んでいたハルを連れて来ようと案を出すのだが…

・感想
有名な日本昔話をスラッシャー解釈で実写化した「恐解釈」シリーズの1作目で昨年の話題作
2022年に惜しまれつつ解散した人気アイドルグループ「26時のマスカレイド(通称ニジマス)」の元メンバー、森みはるが主演を務めている

オソレゾーンの作品で昔話のスラッシャーパロディという事でB級である事は覚悟していたけど芝居はそこまで酷くなく、終盤には妊婦のミサキに対するタブー描写もあるし低予算にしてはゴア描写も悪くなかった
復讐の鬼と化した“正直爺さん”シゲオが妻との約束を遂げるべく咲かせた人肉桜も強烈なビジュアルでニール・ブロンカンプ監督の「融合体」や「死霊のはらわた ライジング」を思わせる良さで愛犬ハルの遺灰で姿を変えたシゲオ自身も「THE BITE 変身する女」の様でキモかっこよかった

問題は前半の構成が無駄に相関図を分かりづらくさせていた点と展開が遅過ぎた点
特に後者は酷く“いじわる爺さん”タケオの悪人っぷりを描く為とはいえ少々尺を無駄遣いしてしまっていた様に思える
低予算ゆえに殺しの数が少ないんだからもうちょっと工夫の余地があったんじゃないかな…
あとシゲオの善人っぷりも馬鹿正直にタケオに親切でガンを患う妻を思いやっているのみでちょっと足りないし、どうせならそっちに尺を割いてことごとく恩を仇で返される展開の方が見応えがあったんじゃないかと…

この感じだともう1作の「恐解釈 桃太郎」もどうなんだろうなぁ…
タブー描写が強烈で好きだっただけに色々と惜しい作品だったかな…
三池崇史監督とかがやったらもっと良かったんだろうなぁ
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