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サンクスギビングのAZのレビュー・感想・評価

サンクスギビング(2023年製作の映画)
3.6
ゴア描写に新鮮さはあった。意図してやってはいるのだろうが、いかにもティーン向けホラーのオマージュという感じで、B級感も漂っており、これを「いいね!」と思うか「古い!」と思うか…もしくは「古くベタだけどそれが良いね!」が正しい楽しみ方か。こういうのが好きな人向けって感じの作品で個人的にはちょい残念だったが、ちゃんと痛さや怖さを感じれる作品だった。

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冒頭からこれは何を主題にしているのだろうという状況。群衆が暴徒化し商品を奪い合う光景。それに巻き込まれ怪我をしたり死んでいく人々。そもそも登場人物からすでに胡散臭さ全開で残虐な描写もチープ。いつの時代の作品だと思うほど古臭さが漂う。

「1年後」となり、この出来事がきっかけになるのだとわかる。殺された人物に近しい人間が犯人になっていくのだろうと。

誰が犯人だろう?という感じでは見てなかった。そんなこと考えても無駄だなと思うほど原因が雑に感じてしまったから。監督もそこまで犯人は誰か?を重視していなかったように思う。新しいキャラクターを引き立て、いかに今までになかった恐怖体験を作り上げるかに注力していたように思う。

所々ベタではあったが、トランポリンのシーンや食卓のシーンは画として面白く結構好き。痛々しい描写で言えば、冒頭の髪の毛が引っ張られて皮膚が取れるシーンや冷凍庫を使ったシーン、オーブンで焼かれるシーンなど、ゾワゾワさせられる描写がたくさんありそこはさすがだった。

昨今の品のあるホラー映画とは別のベクトルに進むのは良いと思う。そもそもホラー映画に品を求めるのが間違いかもしれない。ただ、個人的にはこういう映画はたまに見れれば良いかな。

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クエンティン・タランティーノってすごいのだなと。オマージュしながらも新鮮でカッコ良い作品に仕上げている。今作オマージュによって古さ全開だった。だが、それが良いと判断する人もたくさんいるだろう。

チープさは感じられるものの、ホラー映画界に新たなキャラクター殺人鬼ジョン・カーヴァーが仲間入りしたのは感じられた。スタイリッシュなフォルムに、キャッチーで印象的な武器。

彼を引き立てるために選ばれたキャストたちという感じ。あくまで主人公は殺人鬼ジョン・カーヴァーで、彼にどう料理されるかを楽しむ作品だった。
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