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テリファー 終わらない惨劇のAZのレビュー・感想・評価

3.4
なんでこんなに安っぽくなってしまったのか。

前作はグロさが際立ちつつも、全体的な雰囲気は静かで大袈裟でなく、その中で淡々と残虐な出来事が起きていくのが良かったのだが、今作はその残虐性やグロさをあまりにも強調しすぎており、さらに下品さも加わり質の悪い作品に成り下がってしまっていた印象。

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前作によってアート・ザ・クラウンが人ではないということが描かれてしまった為、もはや何でもありに。この辺りが残念で、幻覚や悪夢を見せる姿は『IT』の ペニーワイズに似てしまった感じ。

また暗い雰囲気、無駄なBGMのないミニアム演出が良かったのに、映像は変に色鮮やかになり演出も過剰に。もはや前作とは別作品。

ゴア描写に関しては、やれることを全てやってやるぞ!というぐらい徹底的にやってはいるのだが、そこに美意識はなくただ気持ちが悪いという印象。別にそれでいいのだけれど、個人的には惹かれない表現だった。

好きではないが、印象的なシーンがたくさんあり夢に出てきそうなぐらいインパクトはある作品だった。

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前作が良かったのは映像の質感や控えめな演出、その中で突然起こる惨劇が魅力的だったから。一夜の出来事というのもよく、小さな世界観によって逃げ場や助けが少ない環境が怖さを際立たせていた。

また、何を考えているかわからないアート・ザ・クラウンが良かったのだが、今作は彼が何かを企んでいるというのが伝わってきてしまい不気味さが半減。何というか、観客が求めているのはこれだろという安直な考えが透けて見えてしまう感じが嫌だった。

ただ人を残虐に殺しまくれば良いってものではない。
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