多くの家賃収入を得るため、一戸建てを離れマンションへ移住するニンと、夫・娘の3人家族。
一戸建ては元医者の老女と娘に貸すことになるが、怪しい老女と身の回りに起き始めた異変に、ニンは違和感を覚え始め……。
バーン・クルア=借家。
貸主から見た借主の得体の知れなさに、血・儀式等のヴィジュアルから動物や老若男女に等しく容赦ない描写、余韻まで、タイホラーらしさがふんだんに盛り込まれている。
謎を含むストーリー重視であり、ともすればごちゃっとしてしまいそうな内容を、別人物目線・別時系列等様々な見せ方で真実を明かしながら恐怖を新たにしていくつくりが面白い。
時折ギョッとするような恐怖描写もあるが、その荒削りさが雰囲気やいわゆる“フリ”と相性よくかみ合っている感じもする。
家関連ホラーとかのほとんどが
“借りた家がやばかった(事故物件ものとか)”
が多いんだけど、本作は
“貸した相手がやばかった!?”
みたいな切り口もあって新鮮な感じ。
今後の日常に、
「借りる物件・貸す相手・不動産屋、どこかに隠し事が潜んでいたら?」
と思わせてくる後味も怖い。
親戚がよくタイに行くのだが、タイには町なかでもカラスがあまりいないらしい。
タイ現地の人からすると我々日本人が感じるより「カラスの群れ」というのはずっと気味悪く異様な光景なのかもしれない。