烏丸メヰ

イマジナリーの烏丸メヰのレビュー・感想・評価

イマジナリー(2024年製作の映画)
3.3
夫と、その連れ子姉妹とともに、幼い頃過ごした家へ引っ越した絵本作家の女性。
そこで幼い継子のアリスが古いクマのぬいぐるみを見つけ“友達”として可愛がりはじめる。

人形の変なダンスや、原作ゲームファン向けイースターエッグ詰め合わせ等、ホラー・脚本外の要素で客を呼ぶ
“ブラムハウスの最近のPG12やGのホラー”
にはすっかりハードルを下げざるを得なくなっていたわけだが、映倫Gらしいジャンプスケア中心にも関わらず本作にはダークファンタジーとしての世界観の作り込みが感じられる。

現実と虚構をつなぐ「イマジネーション」。
楽しいものでもあり一種の逃避でもあるそれが、イマジナリーフレンドという要素以外にも、理不尽や心身の傷といった登場人物達のバックボーンに上手くかみ合っている。
ジャンプスケアやイマジナリーフレンドまわりの描写、造形以外の、小道具的ホラー描写も(怖くはないが)◎。
シナリオの散らかりも、雰囲気にノれれば逆に面白い。

ストーリー、映画としては勿論全く別物であるのだが、大人も子供もそれぞれに考え恐怖するといった原風景ホラーとして『It』のコンパクトで現代的なフォロワーという印象を受けた。
レビューの始めに
“ホラーとして骨太じゃない最近のネタブラムハウス”
に難色を示したばかりではあるが、子供や、ホラー苦手な層、ファミリーに話題性からリーチする作品群を展開する狙いがあるのなら、今後のブラムハウスを応援したくなった。
良ホラーは「ガチ勢」が怖がる水準のものだけではないものね。
烏丸メヰ

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