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アタラント号のHKのレビュー・感想・評価

アタラント号(1934年製作の映画)
3.5
29歳で病死したフランスの伝説の監督ジャン・ヴィゴの遺作にして唯一の長編。
前年の中編『新学期・操行ゼロ』に次いでアマプラで連続鑑賞。

田舎と都会を行き来する小舟『アタラント号』の船長ジャンとジュリエットの新婚カップルは他の2名の乗組員と猫たちとともに船旅を続けますが、ジュリエットは狭い船内と単調な水上生活に飽きてきて・・・

どうということのないありきたりなお話なんですが、やはりこの若き監督のみずみずしくも微笑ましい映像が最後まで観ていて飽きません。

若い二枚目の船長ジャン(ジャン・ダステ)は『新学期・操行ゼロ』でチャップリンのマネをしていた新任のユゲ先生ですね。
新妻のジュリエットは『大いなる幻影』のディタ・パルロ。キレイなだけでなく、とても感情表現が豊かです。

しかしインパクト絶大なのが古参の乗組員で伊藤雄之助そっくりのジュール(ミシェル・シモン)。この人が主役と言ってもいいくらい。
全身の刺青は酔った勢いの産物か子供の落書きにしか見えません(笑)

『新学期・操行ゼロ』でもいろんな小道具が出てきましたが、本作ではさらにおもちゃ箱というかガラクタをひっくり返したような面白いアイテムが次から次に出てきます。
これは監督の趣味なんでしょうね。
音楽の使い方もシャレています。
音楽は『新学期・操行ゼロ』『舞踏会の手帳』などのモーリス・ジョベール。
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