アタラント号の作品情報・感想・評価

アタラント号1934年製作の映画)

L'ATALANTE

製作国:

上映時間:101分

ジャンル:

4.1

「アタラント号」に投稿された感想・評価

ほし

ほしの感想・評価

3.5
撮影:ボリス・カウフマン

初ヴィゴ。一糸まとわぬ裸のパリ。
全部良い。
優しさ、決まりまくりのショット、官能的な編集、猫、猫、猫!
空撮で始まり、空撮で終わったジャン・ヴィゴの映画人生。
TSUBASA

TSUBASAの感想・評価

2.8
短文感想 65点
最近短文感想が続き申し訳ありません。今作は29歳で亡くなったジャン・ヴィゴの遺作であるとともに、フランス映画史上最高傑作の一つと言われている作品です。アタラント号という船に乗る主人公と女の恋愛を描いた作品。パリの華やかさに魅了された女はパリに夢中になり、男のことなんて放ったらかし状態になってしまいます。割とありきたりの展開であり感動もしない。多分映像的に評価されている部分もあり、残念ながら現段階の自分では、これが傑作と断言出来ません。素直に、ハマれなかった自分が悔しいです(笑)クラシック映画が苦手というわけではないのに何故だろう。。せっかくはりきってヨドバシでBlu-ray版購入したのに。。
Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

5.0
‪「アタラント号」‬
‪ジャンヴィゴ…唯一の長編作にして遺作の本作はフランス映画史に残る傑作の一つだ。84年前の映画にも関わらず何か通じるものがあり常人には理解し難い奇抜さがあり海の上、船と言う空間と港の縮図で生きる人々の喜びを丹念に描き愛に満ちた素晴らしい映画だ。兎に角観て欲しい一作…‬
菩薩

菩薩の感想・評価

5.0
『新学期・操行ゼロ』の抑圧されたバネの様な存在達が解放された瞬間のそのエネルギーを90分近く継続するなどもはや奇跡としか言いようが無いが、じゃあなぜそんな事ができるのだ?と言われればヴィゴが「天才だから。」ともうただその一言で説明がつくのではないか。シンプルなストーリーとは裏腹に内容的にはめちゃくちゃな映画だが、そのめちゃくちゃ加減がめちゃくちゃ面白いし、展開と良いショットの決まり具合と良い主役をも食うミシェル・シモンの滑稽な様と言い、なんでそーなるの!と欽ちゃん以上に驚愕かつ幸福な光景がただ目の前に溢れ続ける。更に劇中を彩るかわゆすぎる猫ちゃん達、ニャンコが…ニャンコがぁーーー!!!と猫好きとしては発狂寸前にまで追い込まれる愛くるしさ、もうたまんねぇな…。子猫が肩に張り付き続けてる時点でもう5点、うちの猫より…いや負けない!!!
当然ながらCGではない猫達はどうやって演出したのでしょう。
常に肩に乗ってる猫、何処からともなくわらわら現れるニャンコ達。

ストーリーは非常にたわいない男女のスレ違いで、それが船の上と言う非日常の舞台が用意されてはいても、話自体は特に捻りもなく在り来りなのにこんなにもスゴい映画になってるのはやはり映像の魔術、それも派手派手しいものではなく全てがまるでパズルの様に完璧に組み合わさってひとつの構図を完成させる、みたいな。

古代ギリシャ叙事詩『オデュッセイア』の何年にも渡る壮大な旅を、現代のたった1日の出来事として書いたのがジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』ですが、『アタラント号』もごく短い船の旅を描きながら、狂言回しで道化でありる老水夫ジュール(ミシェル・シモン)を配する事で、コレが神話的な物語性を帯びて来る。
『アタラント号』はオデュッセイアの様な神話を現代の若い新婚夫婦の1日の出来事に置き換えたみたいにも感じました。

船長ジャン(ジャン・ダスネ)との単調な船での生活に飽き、華やかな都パリに誘惑され、そして行ったまま帰れなくなる妻ジュリエット(ディタ・パルロ)。
これは神話や昔話によくある異世界(死後の世界など)へ攫われる(又は迷い込む)妻(或いは恋人)のお話しの隠喩ですね。
そして妻を取り戻す為、又は妻が元の場所(現世)に戻るための冒険なり試練なりが描かれる古典的な「行きて戻りし物語」のパターンに沿ったもの。

『ユリシーズ』は「意識の流れ」と言う文学的手法で書かれた小説で、その概念は「人間の精神の中に絶え間なく移ろっていく主観的な思考や感覚を、特に注釈を付けることなく記述していく文学上の手法」という文学上の表現の一手法(Wikipediaより。難しくて僕も良くは分かりません😅)で、『アタラント号』は人物の内的告白によってではなく、映像や演出と言った謂わば外的な視覚的情報として「意識の流れ」を描いている極めて実験的な映画で、水中撮影やモンタージュを駆使した先鋭的かつ幻想的な映像と普遍的な男女のたわいないスレ違いの話しとが相合わさって詩的な、神話的世界を作り上げている。

老水夫ジュールが愉快で何処か不気味かつ非常に魅力的。
ナイフで自分の指を切るシーン、『エイリアン2』のビショップを思い出してこの男はビショップや『エイリアン・コヴェナント』のデヴィッドの様な狂ったアンドロイドにも見えた。
(そう言えば『エイリアン』シリーズも狂言回し(道化)=アンドロイドを乗せた船が舞台の「行きて戻りし物語」だ)

僅か29歳で夭逝した天才ジョン・ディゴ監督。
遺作であり唯一の長編映画。
この人がもっと映画を撮ってたら、SFやホラーを撮ったら何て考えると残念でなりません。
船乗りの唄をかけたら、親父さんが見つけに来てくれる。画面に映るのは上下反転した像で、わざとらしくも憎めない粋な演出。
相変わらず、パリは彷徨の名所!
猫!猫!猫!!
ストーリー自体は単純なのに、超面白いし、スゲ〜モン見たなって感じがする。
ラストのカットバックの仕方とかまさにTHE・手本って感じで唸る。
天才は早く亡くなるのが惜しい。もっと観たい。
いなせな演出を極めた映画だが、観終わって思わず反芻してしまうくらい記憶に残る断片的なイメージの数々。それらが脳内で組み合わさり、自在に交わっていく。芸術は魅せる為にあることを改めて思い知らされる。これを書いている今も、そしてこれからも記憶の中でピュアな残像として眩く光っていくであろう。ナイーヴながら瀟洒な本作品を象徴する一節 “目を閉じてた? …水の中に愛が見える事をあなたは知らないのね…”“去年あなたが見えたの、ピンときたわ!”
521号

521号の感想・評価

4.3
挿話を重ねて描かれる船という家。
そこに暮らす人々の群像劇としての色が濃い。

少年水夫と親爺さんのやりとり、
余話として挿入された程度の短いシーンで、なぜこんなに二人の人間のキャラクターから関係まで豊かに描ける…。
少年が摘んだ草花を掲げる瞬間に舞い散る花弁、
飛び跳ねながらも子猫が肩から落ちないように振る舞う親爺さんの身を屈む角度。

船上を歩む花嫁を映す、おそらく最高峰の横移動ショット。
歩みの速度、向こうを行く船、水面に残る澪、総てが共存し囁き合う引きのマスターショット。

水中で目を開けて見えるもの。
1度目ははしゃいで嬉しそうに、
2度目は孤独と後悔の中せつなげに。

巨大な氷を抱きしめるジャンのカットの挿入、ジャン・ヴィゴ、映画という連続性のなかに瞬間を焼きつけんとするかのごとく、冷たく熱い強烈なショット。

会社に赴くところから前後のシーケンスで、親爺さんの人間らしさの描写は匠を極める。
打ちひしがれるジャンを援け、前を歩き、上司からジャンをかばう、
副長としての責任を背負う初老の男性としての親爺さん。
奥さんを探しに出た先で、それまで見せなかった毅然とした歩みで橋や街中を行く、と思えばベンチに腰掛け(奥さんと見紛えた?)女性に惹かれる助平な親爺さん。

思えば、この作品は親爺さんの人間描写に尽きる映画だった気もする。

彼を中心とした群像劇の時間、アタラント号の航海は彼の人生の写しなんだろうか。

そしてこれもまた実は猫映画なのである。
親爺さん、こねこのフェージンと二強!
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