ニシザワ

若き見知らぬ者たちのニシザワのネタバレレビュー・内容・結末

若き見知らぬ者たち(2024年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

佐々木インマイマインが生涯ベスト級に好きなので観ました。

恐ろしく良かったです。

前作の中で部分的に描かれた、運の良いやつと悪いやつがいて、そんな中で、少しでも何かを勝ち取ってるやつはグダグダ言ってないで進んでいかなきゃなんないんだって語ってくれたところから、

更に深めて、どんなに恵まれてなくても運で負けてても、持ってるもの全部使って何が何でも奪い取ってやるって気概があるやつだけが勝てるっていうことを教えてくれた気がしました。

どんだけ突き落としても、最後しっかり観てる人を前に進めようとしてくれるの、前作から引き続きで凄くありがたいです。

要素で見ると、警察と行政、もうちょいまともに機能してんじゃない?という気がするのと、お母さん、あの手の病気にしては綺麗過ぎるなって思いました。昔近所に、恐らくかなり近い状況、きっかけや病状だった人がいましたが、年中同じスキーウェアみたいなものを着て徘徊していたので。

あとは、相変わらず友情の描写が手厚くて本当にいちいちこいつら…最高の友達だぜっ!っていう気持ちにさせてくれて素敵です。

何回も観ると思うし、観るたびに自分の中での評価が上がりそうな気がします。



他の人のレビュー見て追記:
リアリティー無いとかただ不幸になりまくるだけって感想多いんだけど、警察で現実にああいう問題を簡単に処理しようとする体質、従来の逮捕歴なんかから先入観で杜撰な取り扱いをするケースや、福祉について知識が無い、あるいは自分の勝手な思い込みで頼らない人は一定程度存在すると思います。
福祉に関しては、こういう時に当事者は視野狭窄に陥っていて、近くにいる誰かが何が何でもこじ開けてあげない限り、好転しないと思っています。でも、好転させるために自分は絶対にリスクを負うことになり、見返りがあるとも限らないから、結局誰も手を出さない。彼女だってそう。リスクを負えなかったんじゃないかな。
これを、リスクを取ってでも救ったパターンが今年公開の52ヘルツのクジラたち、だと思う。あれはリスクを取る理由、しっかりあったし。
何が彼を殺したかって言ったら福祉に頼らず自分に負荷を掛け過ぎ、その結果の粗野な振る舞いで警察から目をつけられ、被害者であるのに現場ではそう判断させられないミスリードの情報を与えてしまっていた彼自身で、広げるとそこに至るまで手を差し伸べなかった周りの人間で、更に広げると環境や社会の仕組みそのものだと思いました。
完全に自己責任とも言えるし社会そのもののせいとも言えるし、運が悪かっただけとも言える、絶妙な作りに自分は感じました。
結局、全部人にぶん投げて、やりたいことに邁進した弟だけが上手くやった。
ニシザワ

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