みほみほ

喪うのみほみほのレビュー・感想・評価

喪う(2023年製作の映画)
4.3
🎄2024年134本目🎄(吹替)

それぞれタイプの違う三姉妹のキャラクターからなにから全てが最高で、泣いては笑い、考えさせられて、Christmasの夜に観れて余計に良かった。

最初に三姉妹を見た時は、ケイティ(長女)はしっかり者だけど口うるさくて攻撃的な面があるし、レイチェル(次女)はアウトローでぶっ飛んでて概念とか認識の面で心配になるし、クリスティーナ(三女)は自分に酔ってる理想主義者みたいな感じで意外と一番抵抗あるキャラクターだったりしたんだけど、そこらへんのそれぞれの特徴もきちんと触れてくれるし、話が深まってきた時に見えてくるそれぞれへの思いが少しずつ変化していくのも素敵で、とても見応えのある家族のドラマだった。

親の最期に向き合う姿もそれぞれだけど、自分は意外と気質はケイティ(長女)だけど目を逸らさない部分はクリスティーナ(三女)っぽいし、たまに思い切った行動する時はレイチェルだな等と思いながら観ていたので、どのキャラクターから感じる性質も自分に心当たりがあるのが面白かった。

この映画がかなり刺さったのは、姉妹のわだかまりを描く上で実家にいるレイチェル(次女)に対する不満を隠そうとしないケイティ(長女)だったり、何も知らないのに出しゃばろうとするケイティ(長女)への感情に妙なリアルさを強く感じたから。

自分が身近で観てきた光景がそこにあるような錯覚さえあり、不器用で社会的に褒められたことはしてないけど根が優しいレイチェルだったり、何かあった時に出しゃばるけど、本人は周りを誰も頼れないと思っていて尚且つ勝手に一人疲れ切っている感じとか、自分の出来事なのにどこか絵本の世界に居るようで、決して争わないけど攻撃されるとボロが出ちゃうクリスティーナだったりと、本当に既視感あり過ぎて笑っちゃう。

タイプが違っても自分が経験した祖母の死の時に見た親族の動きとか、近くに住んでいるのに日頃滅多に顔を見せなくて危なくなった時にようやく会いに来てやってる感を出すあの感じとか、一緒に住んでる人をどこか見下してるあの態度とか、全てにおいて現実的で、あまりに見覚えのある経験だったので感情がぐわっと持っていかれてしまった。

色んなことがあるけど、最後にはいい関係で助け合えるのが理想。同じ内容でも できる人、そもそもやらない人(気付くことすらできない)、自分は関係ないと思っている人等、兄弟間の微妙なズレを見事に可視化していたと思う。

一見キツい性格なケイティだけど、彼女が動かなければ進まない空気だってあるし、やらなきゃ!って使命感に押しつぶされて常にイライラしてる感じとか余裕の無さに共感してしまって、一番背中を押してあげたくなった人でした。現実的に考えるとこのタイプはもう少し上をいく傲慢な人が多くて物欲も強いイメージだけど、この映画ではキャラクターのバランスが良く快適に観ていられた部分が映画として良かった。

親が亡くなる前の不安感や感情を思い出して泣き通したシーンも多かったけど、不意打ちで笑わせてくれるキャットファイトも楽しかった。普段は女同士、腹の中を隠し合ってるからこそ炸裂する瞬間が面白いんだよなぁ。

この映画が兄弟間、姉妹間のバランスを考えるきっかけになればいいなぁ。自分がしっかりしなきゃダメな星に生まれた私としては、レイチェルやクリスティーナみたいな生き方もしてみたかった。

いい映画でした🎄🎄🎄
メリークリスマス✨🎄✨
みほみほ

みほみほ