アネモネ

ヒットマンのアネモネのレビュー・感想・評価

ヒットマン(2023年製作の映画)
4.5
私はリチャード・リンクレイター監督が
すごーーく好きで
グレン・パウエルが
すごーーく苦手
です。


リチャード・リンクレイター監督作はスルメ。
噛めば噛むほど面白い。
好き過ぎて、毎回勝手に解釈するのが楽しいのです。

前作のバーナデットとは、全く違うようで着地点は同じな気がしました。
バーナデットは自分らしくいたいけど生き辛さを感じていた主人公が、本当にやりたかった事(なりたかった自分)に向き合って行く姿とその先まで見せてくれていました。
一方今作は、自分らしく生きていたつもりだったけど、ふとしたきっかけで今までの自分だったら体験出来なかったであろう喜びや楽しさを知って、なりきりのニセモノがいつの間にか自分になっていく…そして今作も最後まで敢えて見せていました。
共通してるのは「見つけた自分」なのかなと。


こうして咀嚼していくと、どんどん滋味が深くなって行くのがリチャード・リンクレイター作品なのです。
結果
今回私は酷く落ち込んでいます
なぜなら、鑑賞中ずっと
グレン・パウエルの見た目(苦手意識)が先行してしまい、嘘に嘘を重ねる滑稽な人にしか見えなかったから。
一方マディソンも、自分の武器をわかっていて欲望を満たす為にだけに行動できる人に見えていしまって。
これが私にはノイズでした。。
だから最後は、はぁ?って思ってしまった。

でもそれって偏見かもよ?
あの2人の真実は、心の内は、あなた知らないでしょ?
実は2人とも、演技から始まった創作が気付かないうちに真実に変わり、自然にストレートに自分が思うがまま行動していただけなのかも。
私が私だけの目線で相手を判断していた事に気が付かされたのです。
そう、私はまさに偏った目線で映画を登場人物達を観ていたのです。
ガーン
自分の情けなさに愕然としてると、追い討ちをかけるように裁判シーンがなぜあったのかまで理解できて、ますます自分が情けなくなったのでした。

蓋をしていた自分からの解放と、無意識の意識的解放。
その先にはこんな答えもあっていいじゃんって
監督とグレン・パウエルのユーモアが現れていたんだなー。

そりゃ命奪っちゃダメだけど、最初に言ってるじゃんね、
ヒットマンって仕事、皆さんはあると思ってるっしょ?けどそれって映画やドラマの作られた世界から植え付けられた無意識な常識だよって。
実在の人物に着想を得たって言われて、一方的にリアルや倫理道徳を求めてしまってなかった?
これは映画なんだから!作り物なの!
だからラストは予想もできない展開で楽しかったでしょ?
みんな2人の関係や行動をハラハラドキドキあちゃーって思いながら観てたんじゃね?
その一方通行の目線をザーって一気に振り落としたかったの!
って言ってるんだと。

参りました


監督独特の会話劇じゃないなって思ったけど、これも今考えると、登場人物それぞれの会話の中にたくさんのヒントやメッセージが込められていたように思いました。


どうしても顔だけが取り柄の田舎者の丸出しのバカにしか見えない昔のイケメン顔グレン・パウエル。←ヒドイ
これさえも私の一方的な考えから生じた偏見そのもの!
こんな物言いしか出来ない自分が昔から嫌いなんだけど、私も意識して言葉を選んで演じてみたらゲイリーみたいに変われるのかな。

エブリバディウォンツサムは大好きなんだけどさー、でもさー、大人になった彼は苦手なんだよ!あーいう顔のイケメンが。

ツイスターも彼のせいで楽しさ半減だったんだけど、今作でほんの少ーしだけ良さがわかったような…?

ほら、こうして感想を書いてるとどんどん監督にはまって行くの
ね、スルメでしょ?
アネモネ

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