アネモネ

おんどりの鳴く前にのアネモネのレビュー・感想・評価

おんどりの鳴く前に(2022年製作の映画)
4.3
これ、本当にルーマニアの作品ですか?
出てくる人皆んなの台詞、どこかで聞いた事あるような…
私の職場のある田舎町に似たような日常が…
でもって日本でもしょっちゅうニュースで聞く話に似てるような…
ねぇねぇ、そうだよね?


始まりから聞くに耐えない最悪思考のオンパレード。
波風たてないのが正しいとか、見猿聞か猿言わ猿がベストなのかとか、自分の為とか、
これ全部間違いで正しい事なんて1つも無いんだけど、人間社会ってやつは世界中どこの誰でも少なからずこんなコミュニティに身を置かなくては生きていけないよね。
そこで自分はどうするか、それだけ。

イリエは10年前の出来事で、心にシャッターを下ろしてしまったんでしょう。
どんな事があったにせよ、10年と言うのは人をこんなにも堕落させてしまうんですね。
長いモノに巻かれるどころじゃなく、全身包まれて生きていくのもそりゃ個人の選択だからいいんだけどさ。
イリエ役の役者さんの素晴らしい演技に感動しかないです。
見た目表情全てがイリエと言う人物を表現していて上手すぎる!
登場してすぐ、あ、こいつダメだってなって。
未来ある若き青年に対する言葉はギャグにしか見えないんだよ。
警官って事も忘れたんかーい!

足下のゴミは目に入らないっていう場面から始まり、それがずっと同じ意味の出来事が繰り返されて、次々と登場人物の口から溢れる言葉は
すごーく頭にくる!
なんだけど
全部耳にタコが出来るくらいよく聞く言葉で、それに少し慣れてしまって聞き流す術さえ持っている自分にもショックだった。

ほんの僅かに残っていた「正義」「自分らしさ」に本気の出し方さえ忘れてしまったイリエ。
酒の飲み過ぎでぐったりのイリエ。
この映画のラスト、私には正義の為というよりも、社会の腐敗と同じくらい何も出来ない自分の腐敗に打ちのめされての行動だと感じました。
1ミリくらいマシになったって言い訳の為に自分の顔を見たかったんじゃないかなって。


てか思い出すと頭にくる出来事しか起こらない映画だったわ。

I Like Movies!





羨ましいのは腐敗した権力が都合の良い人にはちゃんと分配してるってこと。
こちとら腐敗した権力からの恩恵すらないからな!
でも私も気をつけよ。
もう諦めて死んだ魚みたいな目で日々を過ごしてるから。
もし職場に斧があったら、握る日がくるかもしれないから腐らないようにしないとね!
アネモネ

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