みむさん

Lost Ladies(英題)のみむさんのレビュー・感想・評価

Lost Ladies(英題)(2023年製作の映画)
3.0
トロント国際映画祭にて。

インドで実際に起きた花嫁入れ替り事件をコメディタッチで描いたドラマ。
アミール・カーンの妻キラン・ラオの監督2作目。
抑圧された女性の解放を描くフェミニズム映画っぽい。

二組の新婚夫婦が同じ電車に乗り合わせ同じベールを被った花嫁を間違って連れていってしまうという…。

間違って連れていかれたジャヤはしばらく気づかぬまま(ベールでずっと顔を覆っていて本当に気づかないらしい)、もてなされるまま過ごしている。とはいっても気づくだろう?と疑問に思ったがQAでインドではあまり相手を知らずに結婚することがよくあると言っていたし、その後も納得のいく展開だった。

置き去りにされた花嫁プールはショックを受けながらも自分を見つける機会ととらえ、連れ去られたジャヤもそれまでの境遇を変えるチャンスだと思っていた。

二人とも幸せな結婚じゃなかったってこと?という疑問もあったが、新婚で配偶者を失う不幸な事件を通して自分をポジディブに見つめ直す花嫁、インドでの女性の境遇を考えると腑に落ちる。

二人の花嫁は伝統的な女性像を植え付けられ、無意識に受け入れてきたプールと反抗心があったジャヤが対照的だったが次第に同じ思いになっていくようだった。

プールの夫ディーパックは間違いに気付き絶望するも、新たな妻を愛そうとするんだよね。これって他の映画でも観た新たな嫁に対する切り替えの早さだった。こんな感じなのかね。こうゆう慣習なんだろう。
本人たちの意思よりも先にまず結婚ありき、そこから始める感じ。

厳しい現実に生きている女性の抑圧からの解放の話だが、このドラマではその古い固定観念・伝統的価値観やルールをうまく逆手に取って利用しているのが面白い。