心にしみる、大人向けのアニメ映画
以前から映画館のチラシ置き場で目立っていた作品で、多くの海外映画賞を獲得したことで話題になっていた映画でした。
個人的に、いわゆる”余命もの”、不治の病で余命が限られているとか、亡くなった最愛の人が一時的に蘇るとか、そういうのが苦手で、本作も事前情報ではそういう雰囲気を感じたので観ようか迷っていたのですが、観て正解。エモいながらも、観終わった後にスッキリと前向きな気持になれるとても良い映画でした。
本作は、是非ネタバレ無しで映画館鑑賞していただきたい映画なので、ストーリーに触れる部分は書けないと思っているのですが、全編セリフなし、登場人物の名前や性別すらもないこの大胆な構成は、逆に世界中の誰しもが何らかの形で感情移入できる構成になっていて、世界中で賞を受賞したのも納得です。
本作の主人公はロボット。そのパートナーは、NYで寂しく暮らす一人ぼっちの”ドッグ”。観ている途中、また、観終わった後には、自分にとっての”ロボット”は誰(何)なのか、自分にとっての”ドッグ”は誰(何)なのか考えさせる映画になっていて、観終わった後、少しだけ周りに優しくなれる気持ちにさせてくれる、素敵な映画でした。
短く、シンプルな映画なので、心が疲れた時、サプリを飲むように、また”ドッグ”と”ロボット”に逢いたくなるような、そんな優しい映画。おすすめです。
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【映画について】
スペインのパブロ・ベルヘル(パブロ・ベルガー)監督が、アメリカの女性児童文学作家サラ・バロンさんの原作「ロボットの夢」に感銘を受け、映画化した作品。
監督の奥様は日本人の原見夕子さんで、本作でも音楽やプロデュースを担当されているところや、監督ご自身が古くからSOPHIAのMV監督をしていたり、好きな作家にジブリの高畑勲さんや今敏さん(パプリカさん)を挙げるなど、日本にもゆかりの深い方だそうです。
本作のアニメ絵も、極力線が少なくシンプルに描かれたものですが、だからこそ細部に緻密さが必要で、本作でも手を握るところや、”ドッグ”のしっぽの演技、”ロボット”の眼の演技など、ちょっとしたところで気持ちを表現する繊細で緻密な表現がなされていて感心しました。
また、セリフがない分、心に響くのが音楽。アース・ウィンド&ファイアーのSeptember(Do you remember~♪)をメインテーマに、MTVのテレビ映像が取り上げられたりと、1980年代描写が満載。私自身、オリジナルカセットを作ってウォークマンで聴いていた世代なので、いろんな描写がエモかったです。
(電池がもったいなくて、六角形の鉛筆でクルクルカセットを回して巻き戻ししてました・・・😅)
ただ、そういうレトロフューチャー感はあくまで添え物で、どんな世代の人が観ても楽しめる映画だったと思います。
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今回、公開二日目のテアトル梅田で観てきたのですが、休日ということもあるかと思いますが、座席は満席で、グッズも一部売り切れ、パンフはまだありましたが、売り切れそうな雰囲気でしたね。キャラクターがかわいいです。
個人的に、最近またレゴにはまっているので、ロボット君のレゴをデザインして作ってみようかなと思ってます😋