2024.11.14
予告を見て気になった作品。
スペイン&フランスの製作によるアニメーション映画。
動物たちが人間のように暮らす世界のニューヨークで、ドッグはいつも一人で過ごしていた。
暗い画面のテレビに映る一人の自分、隣のアパートに見える仲良く過ごす二人の姿から、寂しさに駆られ、CMでやっていた友達ロボットの手作りキットを注文する。
届いたロボットと一緒に過ごし、束の間の幸せを味わうドッグだったが、海に出かけたある日の帰り、ロボットが急に動かなくなってしまう。
次の日修理に向かうが、シーズンオフに入ってしまい、ロボットを置いてきた砂浜に入ることができない。
次の年の夏が来るまでの間、ロボットが見る夢と、再び孤独となったドッグの日常のお話。
『ゴンドラ』に続きまたもセリフなしの良作!
これがロボット版『ラ・ラ・ランド』ってことなのか……?
動物たちが人間のように暮らす世界、その世界におけるロボットの役割など、いくらでもストーリーを膨らませられそうな土壌がありながら、セリフなしだったこともあってあくまでドッグとロボットの視点から見えるものを描いていたように思います。
そのおかげでドッグとロボット、一匹と一体の関係性に注目して鑑賞することができましたが、同じ鳥類でも人間のように生きているものと鳥のまま生きているもの、同じ海に生きる生物でも、地上にいるものと釣られるもの、また、ロボットについてもどれだけ普及しているのか、手作りキットが販売されていたり色んな用途のロボットは販売されていたりする割に街中で見かけないし、自作する人(?)もいるしで、世界観としては中途半端な印象を受けました。
Earth, Wind & Fireの『September』に乗せて描かれるドッグとロボットの日常。
序盤で寂しそうなドッグの表情が描かれていた分、とても幸せそうに見えましたし、このまま話が進むとばかり思っていたので、突然の別れには衝撃を受けました。
そして始まる離れ離れの日々。
ロボットは海から来たウサギたちに助けられる夢ややっと帰れたと思ったら違うロボットがドッグと一緒にいる夢、違う世界に行って花たちと踊る夢を見る。
ドッグはハロウィンにロボットが帰ってきてくれることを願いながら訪ねてくる子どもたちの相手をしたり、友達作りで参加したスキー旅行でアリクイたちにいじめられて大怪我をしたり、凧揚げで仲良くなったダッグが突然ヨーロッパに行ってしまったりと、孤独な日常の現実を見る。
そして、ロボットの元には巣を作るために親鳥が降り立ち、産卵から雛鳥が羽ばたくまでを見守る、それは、現実の話。
ドッグが住むアパートの前で子どもたちが作った雪だるまは一人歩きを始め、ドッグをボウリング場に連れていってくれるが、上手くできないことを大笑いされる、それは、夢の話。
と、ロボットの夢とドッグの現実だけでなく、真逆の話も見せてくれたのが印象的でした。
海開きの日が来て、砂浜でロボットの姿を探すも既におらず、新しい友達ロボットを購入するドッグ、スクラップ場に捨てられるが、拾われて代替品で生まれ変わり、違う主人の元で新たな生活を送り始めるロボット。
路上で再会を果たすも、既に彼らは他人同士。
ここはもう『ラ・ラ・ランド』や『劇場』、『花束みたいな恋をした』を思い出しましたね。
犬とロボットの話でも、離れ離れになったペアがいつまでも想い合っているなんてやはり幻想なんですね、アニメ映画なのに……。
別々の生活を送るようになっても、同じようにBGMで奏でられる『September』が切なく聴こえました。