このレビューはネタバレを含みます
ノンバーバルで展開する大変切ないニューヨーク異種友情物語。面白かった。とても地味ながら豊かなアニメ表現に引き込まれ、素直に感動してずっとうるうる。なんでもないようなことが幸せだったと思う、ロボットの見る夢の連なり。時々ドッグの夢も混じる。時代設定は80年代なんだろうか?鳩と小鳥だけが鳥として生きていて、動物が人のように生き、マンションの表札がドックにダックとその種が他にいないかのような不思議な世界観。台湾の劇場でポスターを見かけて、てっきり台湾映画だと思ってたらスペインとフランスの合作。とにかく暮らしの小ネタが効いていて、ドッグがレンジで温めてるパスタ弁当のチーズがはねてドアにつくとか、バスタオル巻いて海パン脱いでから通常生活時の全裸になるとか、寝る前に読んでいる本がスティーブン・キングの「ペットセメタリー」とかにつぼった。ドッグの孤独な生活がかつての自分のそれと重なって大変切なかった。寂しさが身に染みる。ある意味ハッピーエンドの終い方がとても心地良い。たまたま劇場で知り合いに会ったら、この作品のファンで6回も観に来ているらしい。それくらい中毒性のある作品なのだろう。とにかく全編雰囲気が良かった。推しキャラはラスカルさん。9月に出会った二人の思い出がアース・ウィンド&ファイヤーの「セプテンバー」に集約される。