ピカソ、ジョルジュ・ブラック、マティス、モネ…芸術の巨匠たちの美術品を根こそぎいただく、クライム・ドキュメントの中ではかなり視覚的に美しい一本。美術館泥棒をしたい貴方に華麗でムダのないテクニックをレクチャー。
人は傷つけない代わりに、盗みの美学に罪悪感を抱くこともない。犯人の堂々とした独白が全編に渡る。
とはいえ値踏みで驚きたくなかったが、名実共にトップクラスの絵画を当時の為替ルートで考えても一枚650万で買い叩く予定だった闇画商は随分と阿漕な人間だと思う。スパイダーマンの彼は満足気だが、「手癖のやりがい搾取」と考えてもいいだろう。仮に10倍の額で買い取って流しても自分の手元に残る額のほうがずっと高いはずだ。闇ルートを確保するリスクと天秤にかけたとしても、どれだけぼるつもりだったんだ…。
