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メイド・イン・ホンコン/香港製造 デジタル・リマスター版のkyのレビュー・感想・評価

4.2
新たなムーブメントの幕開けを示唆させるような映画であり、中国返還に揺らめく香港を舞台に情緒的な人間模様を描く。
香港映画に見られる色彩美や演出、カメラワークも健在でそれがストーリーを盛り立てる。


あらすじ
1997年、香港。
借金取りを手伝う青年チャウと弟分のロンは少女ペンと出会う。
飛び降り自殺した女子学生の遺書を拾ったことをきっかけに、3人の間には奇妙な友情が芽生えるが、それは彼らにとって過酷な日々の始まりでもあった。
ペンに恋心を抱くようになったチャウは、彼女が腎臓病で余命わずかなことを知る…。


感想・考察
香港映画にしか出せない確かなもの
香港映画といえば王家衛監督作品に代表されるように色彩美や演出、カメラワークといったように、他のどの国の映画にも比類なき独自性が特徴。
それらは今作でも顕著に表れているのだけれど、それが何を意とするのかといえば、やはり情緒的な人間模様。そもそも、映画のジャンルではドラマが多いようにドラマチックな展開が観客を惹きつけるわけだけれど、そういう意味で、そのドラマを構成する要因のメインは間違いなく登場人物。
今作であれば、借金取りの仕事をしながら母親と2人暮らしをする主人公チャウ。知的障害があり無垢なロン。自殺した少女サン。難病を抱える少女ペン。これら皆、遣る瀬無のない境遇を抱えており、観客を引き込む。それを相乗するのが、間違いなく香港特有の色彩や演出なのだ。これが香港映画が僕を惹き付ける大きな理由でもある。

以降ブログにて
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