雨宮はな

ラストターン 福山健二71歳、二度目の青春の雨宮はなのレビュー・感想・評価

3.0
老人たちが“自分だと思っている”、現役世代としては“理想的な”老人として岩城滉一さんが活躍されている。
現実を優しく明るく演出した作品。

岩城滉一さん演じる主人公はセクハラ思考がなく、自活がちゃんとした意味でできている理想的な老人で、
“現実的な”姿を田山涼成さんが演じているのは非常に合理的な配慮だと思った。
コメディというクッションに挟んで、まるで笑えないコンプラにゴリゴリこすってしまうところも演出できる。

印象的だったのは現役世代が悪役として描かれていたところ。
息子夫婦とその息子が主人公を「いわゆる老人とは」という情報通りの老人として扱い、自分達に不都合がないようにと先手をうつ様子は正しくもとげとげした印象を与えるものがあった。
一方で都合のいい戦力として期待し、肝心な時にまるで頼りにならないあたり「やはり若者にはわたしたちがいないとだめなのだ」と思っていたい老人への忖度が見えた気がした。

私がいちばん注目した役は近所の中年男性だ。
年老いた母を亡くし、彼女が飼っていた犬がさみしさと運動不足から吠え続けて近所迷惑になっているという小さくもハードな問題を抱えていて、主人公の申し出に「本当にいいんですか?!甘えちゃってもいいですか?!」思い切り安心した笑顔を浮かべたのがとても印象的だった。
雨宮はな

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