作品名よりもポスターにある「Close-Knit」のほうが合っている内容。
母親神話、母の呪縛の話。
生田斗真がトランスジェンダーを演じていることや、その演技力はあくまで話題のためでしかない。
それよりも、「子供を放置する母親のほうが、実際に養育した人間よりも優れている」という社会通念上の問題のほうが重要だ。
大人の女性の加害はびっくりするほど陰湿で嫌になる。
トランスジェンダーを「ああいうタイプの人」と呼ぶまえに、育児放棄した母親への言及がないことが“母親”というラベルの強さを感じさせる。
ラストは非常に現実的でいたたまれなくなった。
作品中だけで考えればトモの義母から始まった不幸は終わらず、トモは自分から舞い戻ってしまったことになる。
今後、叔父カップルを頼れなくなるであろうことはプレゼントされたものが示唆しているように思える。