マツタヤ

毒のマツタヤのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
4.5
たまたま先週末に古本屋で見つけたロアルドダール短編集に、この毒が入ってたので観る前に読んでから即鑑賞してみた。

ポーチの前に止まる車、そのライトに照らされる一軒家がここまでお洒落に見せられるって、いきなり冒頭から感激してまう(文字から映像に移行するだけでも満足だけどさらにこんな映像美を見せつけられるんだからこの監督にこの作品ありきやな〜)
そんで作品が進むにつれ、あの場面この場面が次々映像として目の前にあらわれ感動がとまらなかった〜

電話口の小爆発!(おお!こんな発声なのか笑)
吐息の下から漏れ出るような小さな声(そんなに小さいのか!)
猫のように音を立てずに歩く(そこまで可愛く歩くのか!)
そして最後の激昂!(ポープをここまで嫌いになれるなんて!)
こうして映画になるとより読みどころ、見どころを優しくウェスが教えてくれているようで楽しい。リズム感も感じさせてくれるよな絶妙な間というか、ひょんなタイミングで演者が画面のこちら側に度々視線をよこして、その目が合うとなんかツッコミ待ちみたいな空気が流れるのも可笑しい。そうそう、シーツを開けてからさらにソイツがどうだったかの後に訪れる罵詈雑言と何とも言えない表情で去っていくガンデルバイもまさしく、な感じ。

文学も映画もそんなそれぞれのワンシーンを何度噛んでも味のするガムみたいにゆっくりじっくり味わいながらの嗜み方を教えてくれる作品みたいな気がした。
とてもとてもロアルドダールの言葉遣いが楽しいことを再認識できて、さらにそれを面白く可愛く演出しているウェスアンダーソン。他の短編もできれば読み比べ、観て比べしてみたい
マツタヤ

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