こなつ

彼方にのこなつのレビュー・感想・評価

彼方に(2023年製作の映画)
4.0
第96回アカデミー賞の短編実写映画賞にノミネートされているイギリスの作品。たった18分のドラマに泣かされた。

人は、最愛の人を失った時どうやって立ち直って行くのか、受け入れられない自分の心が悲しみと向き合うことを遮断し、苦しみの沼から抜け出せない。そんな人がそばに居たらどんな言葉が掛けられるだろう。

残虐な犯罪により失意のどん底に叩き落とされた男性が、ライドシェアサービスのドライバーとして虚しい日々を送っていた。ひとりの乗客の存在が彼の心を揺さぶり、悲しみと向き合わせる。

乗客として様々な人が登場する。人それぞれが他の人とは違うドラマを持っている。キャラクターの描写が豊かで、興味深い。デヴィッド・オイェロウォが耐え難い苦しみに身を委ねる男性を好演。観客の心を打たせるのは、長さなど関係ないと思わせる作品。たとえどんなに辛いことがあっても、生きて行かなければいけない人に贈る一抹の光を感じた。
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