アカデミー賞2024で短編実写映画賞にノミネートされているNetflix作品。18分という時間なのでサクッと見れてしまう手軽さと、それに見合わないだけの心の揺さぶりをくれるので、さすがノミネート作品は伊達じゃない。
主人公の男は妻と娘の発表会に行こうした時に悲劇が訪れる。その瞬間、彼は電話をしていて少し距離をとっていた。元々仕事があったところを何とか都合をつけたための電話だ。もしあの時、すぐそばにいたら違う結果になったかもしれない。目の前で起きた惨事に、気が動転した妻も目の前で失ってしまった。幸せだった人生が、一気にどん底に落ちてしまった男の話。
短編映画なので何を見せて何を削るかって判断が非常に重要になってくるわけですが、父親がどれだけ娘を思っていたかはしっかりと伝わってきました。
それ故に唐突に訪れるその瞬間の悲しさもしっかり描かれていて、あの電話する彼越しにピンぼけで見える感じの表現が良かったですね。
そこからの再生…とまではいかないまでも救いが見えるのが後半のメイン。
こっちは正直ピンと来なかったかな。自分たちと似たような親子というのは面白いですが、境遇はだいぶ差がありそうでしたし、同じ心を痛めている者同士、寄り添えたのもわかりますが、腑に落ちない感情の方が強くって。
涙を流しても尚立ち上がって生活に戻っていく姿を長回しで台詞もなく映すシーンは良かったですが、そこに繋がる要素が少し描ききれてないように思えました。