ブータンのヴィンテージ銃を巡る価値転換──ブータン映画は人生初。僧衣を着たお坊さまが銃を肩に担いでいるルックにまずワクワクさせられるが、内容も「文化の盗用」を裏返したような展開でとても面白かった。南北戦争で使われた希少な銃が、遥か遠いブータンの地で全く別の、しかし地域不問の普遍的説得力のある価値を持ってしまい、銃を目当てにブータンを訪れた白人の銃コレクターはその価値転換の前に成す術もなく突っ立っているしかない。銃はペニスの象徴として扱われることがあるが、その意味で本作における銃ととあるモノの物々交換は等価交換と言える。このあたりも非常に皮肉の効いた脚本で良い。