YutaTakaue

ありふれた教室のYutaTakaueのレビュー・感想・評価

ありふれた教室(2023年製作の映画)
4.2
シネスイッチ銀座にてドイツ映画『ありふれた教室』鑑賞。

アカデミー賞国際長編映画賞ノミネート作。
とある中学校で問題になった盗難事件を正義感から単独で捜査していた教師カーラは、ある日犯人であろう同僚教師を突き止める。
しかし、その善意ある行為は次第に学校中の生徒や教師、保護者までをも巻き込む事態へ発展する…

正義感ゆえの行動が歯止めの効かない思わぬ方向へ転落してしまう社会派スリラー映画。そこら辺のホラー映画よりもある意味恐怖や不安感に押し潰されそうになる…
学校のような多くのコミュニティで成り立つ場では独自の価値観や倫理で行動する事はかえって身を滅ぼしかねない事を痛感してしまうし、気持ちのやり場を無くしてしまい終始苦しくて息が詰まる思いだった。
恐らく、社会に出て大なり小なりこれに近い思いをして恐怖心から主体性を無くしてしまった方が多くいるのではないでしょうか。
主人公カーラを演じたレオニー・ベネシュの熱演を含め、担当クラスの子役全ての演技力の高さに驚かされる。
また、不安感を煽る音楽や学校での何気ない風景を映し続ける要所のカットは、それだけで不穏な空気を感じ取ってしまうほど演出面での余韻も感じ取れる非常に完成度の高い作品だった。
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