昼猫

ありふれた教室の昼猫のレビュー・感想・評価

ありふれた教室(2023年製作の映画)
4.0
ある中学校で発生した小さな事件が予想もつかない方向へと進み、校内の秩序が崩壊していく様を、1人の新任教師の目を通して描いた社会派スリラー。

校内で盗難事件が多発する中学校が舞台で、ノートPCにカメラを設置して犯人である同僚教師を突き止めた女性教師が、その容疑者に取った行動によって教師、生徒、保護者に糾弾され、追い込まれていくというストーリー。

隠し撮りをしたカーラの行動は多少行き過ぎとは言え決して間違ってはいない。正義感からもあるし、何より教え子が疑われたのは許せないだろう。正しい事のはずなのに犯人に暴言を吐かれ、終いには周りに行動を非難され孤立していくカーラ。そして遂には生徒と教師の対立にまで発展。少しのズレから大事になってしまうこの状況は変な違和感というか妙な気持ち悪さがあった。

不寛容がもたらす管理社会の不条理さや一つの正義感で崩壊していく教育現場の危うさを描いたスリリングな心理劇であり、ラストまで全く目が離せない。
犯人の息子であるオスカーは本当に可哀想。あの子に罪はないのに虐めを受けるのは見ててかなりキツかった。これを見るとカーラの行動は本当に正しかったのかと揺れそうになる。他人を断罪する事の重さを説いているようで考えさせられた。
昼猫

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