富樫鉄火

ダンテの富樫鉄火のレビュー・感想・評価

ダンテ(2022年製作の映画)
4.0
#181 TIFF2023の6本目
ひさびさに、落ち着いた正統派歴史ドラマを観た。
脚本がうまい。
ボッカッチョがダンテの遺児に会いに行く旅の途中で、縁のあったひとに触れながら回想する、なかなか知的な構成。
ラストでは客席に、すすり泣きが。
あたしも涙腺崩壊寸前だった。

監督の話だと、イタリアでもダンテは読まれていないそうで、『神曲』よりも『新生』を読んでほしいと言っていた。
なるほど、だからこういう映画になったのかと感動した。
シャンテやBunkamura宮下あたりだったら、十分日本公開できる。

90歳近い巨匠監督の来日だけに、会場にはイタリア大使ほか、相応の方々が大挙来ていて、いつものTIFFとは、かなり違った雰囲気。
イタリア映画祭みたいだった。
ご本人も上映前からあいさつに立つほど、上機嫌だった。

伝記映画を撮っているほどモーツァルト好きな監督で有名だが、案の定、今回もモーツァルトが流れていた。
そのことが、いまさらあんな風にトークで話題になるとは思わなかった。
富樫鉄火

富樫鉄火