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ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフのhiのレビュー・感想・評価

4.5
30分ではあるが、秋の木漏れ日のような大人のロマンスを味わうことができた。

イーサン・ホークとペドロ・パスカルのキャスティングが素晴らしい。
「バレーオブバイオレンス」や「スリージャスティス」などの西部劇常連なイーサン・ホークに、「マンダロリアン」で子連れ狼の賞金稼ぎディン・ジャリンを演じたペドロ・パスカル。この2人の大スターが共演というだけでも嬉しい。
近年では「マグニフィセントセブン」のビリーとグッディ(彼を演じるのはイーサン・ホークだ)や、「ファーストカウ」のルーとクッキーのように、クィアリーディングが可能な親しい男性同士の絆が描かれる傾向があるが(これもとても嬉しい)、今回は「ブロークバックマウンテン」と同様に明確な恋人関係を描く。そして「ブロークバックマウンテン」とは異なるアンサーが示されるのが、本作のとても良い点の一つだ。

また、イーサン・ホークが演じるジェイクはやや下半身がだらしなく感情的で、ペドロ・パスカルが演じるシルバは子煩悩で甘えん坊である点が、世界共通のキャラクター解釈っぽいのが面白い。

2人のラブシーンも何度も魅力的に描かれており、製作陣の“ゲイロマンスをしっかり描こう”というスタンスの真摯さが伝わる。
2人が瞳を潤ませながらリビドーに塗れて愛を交わすシーンの、なんと情熱的なことか。
(回想シーンの過去の2人を演じる若い俳優たちも良かった)

「あれ? ハッピーエンドって聞いてたんだけどなあ」と、かなり心配になる不穏な展開に、ドキドキが止まらない。
シルバが放蕩息子を取るか、(元)カレを取るかは見ていて本当にハラハラしたし、どちらにしても苦い展開になるだろうな、と覚悟をしていた。しかし、天才のシルバはどっちも取る。こんなんガッツポーズしちゃう。

2人のその後は明確には描かれないが、きっと男2人で仲睦まじく牧場経営をするのだろう。誰も彼らを邪魔することなく、穏やかな季節を共に過ごしてほしいものだ……
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