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青春の反抗のshinkariのネタバレレビュー・内容・結末

青春の反抗(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

戒厳令解除直後の時期に起きた大学での学生運動を取り上げた作品。

現代からの学生運動(文化)への批判を意識しているように思われ、主人公のチーウェイとウェイ・チンとの同性愛を軸にしながら、学生運動内のジェンダー問題や主導権をめぐる対立についても照射する。狭義の政治的な解放(戒厳令解除)がなされてなお学校・ジェンダー・家族など社会の領域で支配が続くことを見事に描き出している。
とりわけ運動の既存の路線を揺るがすウェイ・チンに対して、リーダーが学科の所属が違うことを理由に(女性に対するパターナリズムを込めながら)排斥しようとしていたことが印象に残る。ウェイ・チンの運動への参加は確かに親による抑圧への反発という個人的な動機を内包するものであったが、むしろあらゆる抑圧に対して個人が日常的にもつ反感を結節させることが重要であるという理解の方が今日の社会運動観として通用しやすいものだろう。
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