佐々木

一月の声に歓びを刻めの佐々木のネタバレレビュー・内容・結末

一月の声に歓びを刻め(2024年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

試写会にて。
観終わって一日経ち本作を振り返るとやはりカルーセル麻紀の第一章と最終章が衝撃的だ。娘の性被害から、男性に絶望し、女性になって娘の清さを体現し孤独に暮らす父親。最終章、亡き娘の遺体が発見された湖の岸辺で、消えない被害感情を、男として叫ぶ父親はとても痛ましい。痛みの結晶だ。いつまでも痛みを忘れない為だけに彼はいる。
【さらに翌日追記】
二章について。一章と比べるとライトな内容。食事も一章のおせちと比べて娘への愛情が素直に伝わる豪華さでグッと来る。過去との向き合い方もシンプルで泣ける。ただ「人は生まれながら罪を背負ってる」という娘の台詞は、一章及び三章のテーマに反してる。

三章は、一章の死んだ娘れいこに関してのもし生きてたら的IFストーリーだと思う。レンタル彼氏との性描写が痛ましくて辛い。処女喪失?ピンと来ない。身体は感じるけど心を任せきれない、てな感じでよかったんでは?
後半の市街地ロケは圧巻。原一男のモノクロドキュメンタリーを思い出した。

最終章。
前田敦子の鼻歌はモノクロでなくカラーで良かったのでは?

総じて一章と最終章のカルセール麻紀だけでも観る価値がある。伏線を貼り回収してない向きもあるけど、短編集ならではの切れ味を感じる。
佐々木

佐々木