ビンさん

恋はパンとミルクのほとりのビンさんのレビュー・感想・評価

恋はパンとミルクのほとり(2023年製作の映画)
3.5
シアターセブンにて鑑賞。

女優・歌手・モデルとして活躍されている、長崎アンナさんが監督・脚本・主演を担当したファンタジー巨編。

本作のプロデュースをされた、『みちくさ』の石井克典監督に、今度こういう作品が公開されるんです、と紹介された今年の夏。

かつて、麻倉ケイトって名前で活動されてて云々と聞いて、え!と驚く。

じつは長崎アンナさんが20年ほど前、KEITAという名前で活動されていた頃、僕も番組担当していた奈良のコミュニティFM局で番組を担当されていて、所属されている事務所の社長さん共々、何度かお見かけしたことがあった。
さらに、ここでは詳細は割愛するが、KEITAさん、もとい、アンナさんとはその頃に浅からぬ因縁もあって(注:取っ組み合いの喧嘩をしたとかじゃありませんよ(笑))。

その後、麻倉ケイトと改名されて、新聞等々でその活躍は拝見していた。
ご自身の経験や立場を活かして、社会的な貢献もされていて、素晴らしいなぁとその折々に感じ入っていた次第。

その後、長崎アンナさんに改名されていたのを存じ上げなかったので、本作の紹介を得て、20年の時が一気に縮まった、そんな気分である。

で、肝心の作品だが。

世界はエビルモンドという絶対的な君主が支配していた。
とある施設に収容されていたレーナとセナの姉弟。
しかし、ある日施設の外の世界を知り、協力者を得て脱出することに成功する。
しかし、自由を得たはずの外の世界では、さらなる試練が二人に降りかかるのだった。

てっきりご自身の活動に準じた、社会的テーマを盛り込んだ作品かと思いきや、完全なエンターテイメントだったのは、違う意味で驚いた。
それでも観ている間は、これは深い意味が込められてるんじゃないか、何故こういう演出なのか、そこにそれ相当の意味があるんじゃないか、と思いつつ観ていたのだが、結局、そんなことは大間違いの、ガチのエンターテイメントだったことは、上映後の舞台挨拶でよく解った。

なんせ、監督したアンナさん自身が、諸々のシーンでツッコミ入れて大爆笑してるんだもの(笑)
本作の悪の権化である、エビルモンドと、いい味方キャラで登場する、span!(よしもとのお笑いユニット)のお二人とアンナさんによる初日の舞台挨拶は、とにかく爆笑の連続で、本作は構えて観るんじゃなく、逆に肩の力を抜いて、ツッコミ入れながら観るのが正解だったのだ。

何より、本作のロケは僕もよく知る大阪は八尾市で行われており、全編に漂うローカル色が、このハードSFともとれる本作に、なんともいえない味わいを与えている。

アンナさんはもともと奈良県出身だが、span!のお二人共々八尾にゆかりがあるということで、そういうこともあってだろう、おそらく楽しみながら作ったんだろうな、ということが強く伝わる作品になっていた。

こういった内容の作品であれば、たとえば、なんとかウォーズとか、魔界なんとかとか、いわゆるファンタジー系横文字タイトルをつけがちだが、本作の『恋はパンとミルクのほとり』なんて、そこから悪魔と天使のバトルなど想像つくかぃ?
タイトルの意味は本編を観ればわかるようになっているが、こういう独自のセンスが長崎アンナイズムなのかもしれない。
楽しい作品だった。

あ、舞台挨拶でのじゃんけん大会で、エビルモンドのステッカーをいただき、ありがとうございました🙇(笑)
ビンさん

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