りょうた

清作の妻のりょうたのレビュー・感想・評価

清作の妻(1965年製作の映画)
4.3
老人の妾として生きていたお兼は、老人が亡くなったことで遺産を相続し母親と共に村に帰るが村八分にされてしまう。そこに模範青年の清作が除隊し村に帰ってくる。お兼と清作は周囲の反対を押し切り愛し合うようになるが、日露戦争が始まり清作に召集令状が届く。
母娘に対して向けられる謂れのない敵意。母親が亡くなりエスカレートしていく蔑み、中傷、そして妬み。なんとも浅ましく不愉快。唯一の理解者で救いでもあった清作が戦争に取られる苦しみは察するに余りある。なんとか清作を戦争に行かせたくないその一心でお兼が取った選択はまさに壮絶。
人間関係の歪みと戦争の不条理が生んだ悲劇。新藤兼人の脚本を増村保造が演出し、若尾文子が演じる。3人の才能が結集した結果生み出された傑作。
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