ToSh

宗方姉妹 デジタルリマスター版のToShのレビュー・感想・評価

4.0
物語
何事にも保守的な節子(田中絹代)は、自由奔放に生きる妹の満里子(高峰秀子)と同居して面倒を見ている。夫・亮助(山村聰)が失業中なので節子はバー勤めをしているが、満里子には皮肉屋の夫に黙って仕えている姉のことが理解できない。京都にいる父・忠親(笠智衆)が余命いくばくもないと知った節子は、妹にはそのことを伏せ、二人で京都に赴く。そこで節子は初恋の相手であり、今は家具店を営んでいる田代(上原謙)と再会する。

対照的な姉妹の生き方を通して当時の社会を浮き彫りにした小津安二郎監督の異色作。
小津安二郎が松竹を離れ、はじめて新東宝で製作した作品。
日本の伝統的な価値観を大事にし、ニヒリストめいた夫に耐え続ける姉と、そんな姉に反発する現代的な妹の対比を通して、戦後の日本の家庭の崩壊と、新しい日本社会の萌芽を描く。

注目は高峰秀子と山村聡の演技。高峰(本作が戦後の小津作品では唯一の出演)は軽妙でコミカルな演技(弁士調に喋るシーンの面白さ)で画面に躍動感を与え、山村は屈折を抱えた男の底暗さを、自嘲的な薄笑いで印象的に演じている。

宗方姉妹
[誤] むなかたしまい
[正] むねかたきょうだい


午前十時の映画祭14にて鑑賞
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