自分探し系の映画。
異常な競争社会があり、格差が激しく、日本と同じくらい自殺率が高い韓国に暮らす女の子が韓国嫌いで半島を出ようとする映画ということで是が非でも観たいと思い劇場に足を運んだが、主人公の口から発せられる韓国の嫌なところ以上に映像表現を通して韓国の闇とか若者の絶望感とかそういうのは何も見出せなかった。
ケナは貧乏の家に生まれながらも努力してそこそこの大学を卒業して、まあまあの会社で働いている。8年間付き合っている彼氏もおる。そして上司や男相手にも物怖じせず自分の意見を通せるたくましく女なのだが、それでも韓国の競争社会にはウンザリしている。韓国の寒すぎる冬も嫌い。で、外国で暮らしたい、ニュージーランドに行くのだがーーという物語。
韓国を抜け出したいのに抜け出せない、あるいは韓国に帰りたくないけど、ニュージーランドにいるのも辛い、みたいな葛藤があればまだドラマチックであるが、ケナは初めから決断力があり行動的であるのに、物語はありきたりで、ぶち当たる大きな壁もないから映画としておもろない。
で、ニュージーランド行っても韓国人と仲良く暮らして、結局韓国おるのと変わらんと思ってしまう。ベタやけど韓国→孤独、ニュージーランド→人と繋がれる、とか、韓国→上下関係厳しい、ニュージーランド→みんな平等、みたいな対立する描写があれば少なくとももっと肌身に理解できるけど、そない大した違いがないし、しかもそれを時系列シャッフルで描かれると、ますます何を見せられてるのかわからんようになる。韓国嫌いというより、寒いのが嫌いなだけちゃうんと思わざるをえない部分もあった。
で、地震のせいか?葬式のためか? 事情は知らんが、ケナは3年後いったん帰国する。そこで家族、彼氏、友達らと束の間触れ合うのだが、ここが特におもろない。何を見せられているのかわからんかった。ケナは家族のありがたみを知る、妹を通じて韓国にも競争社会の外で自分らしく暮らす人たちがいることを知る。だからなんやの? 普通のことちゃうん? 世の中そういうもんやん。