このレビューはネタバレを含みます
映画の予告で気になってた作品なので鑑賞した。内容は予告から見ただけ、佐藤二朗が刑事役で、河合美優演ずる闇を抱えた少女を救い出すって感じなのかな?と勝手に思っていた。
この作品は実際の事件を元に作られたと最初に出た時「そうなのか〜」と。
⚠️自分用記録なのでネタ漏れしてますm(_ _)m
幼い頃からずっと母親に虐待され続けていた杏。
12歳で母親に売春を強要され、その稼ぎは全て母親が取り上げ、非道な扱いを受けて来た。満足に小学校にも通えなくなって、体の不自由な祖母の世話と「売り」で心も体も空っぽになってしまっていた。
16歳の時初めて覚せい剤を使い始めて、それからは辛い現実から逃避するように「薬」に染まって行った。
覚醒剤使用容疑と売春容疑で取り調べを受けることになった杏の目の前に、多々羅と言う刑事が現れた。全てを諦め無気力なっていた杏に対し、無骨ながら、しっかりと杏と向き合い、闇の底から救い出そうと働きかけてくれた多々羅に次第に心を開き、自分自身の人生を切り開く為に動き始める杏だったが……
レビューするのに時間がかかってしまった。親からの虐待などを題材とした作品は何作か観ていたが、なぜだかこの作品は、ずーっと頭に残ってしまう重い作品だった。今も「杏」の壮絶な人生が思い出され、やるせない気持ちになる。こんなに感情移入と言うか、重く残る作品は今まであまり無かった「子宮に沈める」以来かな😞
鬼畜の様な母親と身体の不自由な祖母との3人暮らしで、義務教育すらちゃんと受けることが出来ず劣悪な環境で生きてきた彼女は、
そこから逃げ出そうとか、反抗してやろうとか、そんな考えも及ばないほど心身共に痛めつけられ雁字搦めに母親に縛られた人生だったのかもしれない。それを想像が出来る演出で、胸が締め付けられた。
多々羅に泥沼から引っ張り上げてもらい、母親との決別を決めやっとこれから自分の人生を歩んで行こうとした矢先に様々な事が起こってしまい、そして再び元の場所へ引き戻されてしまう …
なんだったんでしょ。この子の人生は…
誰を責めたらいいんでしょ…
母親?いや親じゃないわな。
ただ杏を産んだだけで、責任もって育てて無い。先ず頭が幼すぎる。子供を「ママ」なんて呼ぶくらいなんだから、本人もちゃんと満足に育ってないまま大人になったんだろう。
優しそうにしている祖母だって、体の不自由を盾に何もしていない、ただ優しい声掛けだけにしか思えなかった。
そもそもあんな鬼畜を育てたのはあの祖母なのだから、何かそこにも原因があると思った。
あの家の中で、傷付けられ、それに耐えながら生きて来た杏。
それでもある出来事が、荒んだ心の中に「愛情と慈しみ」の感情を与えてくれたシーンは見ていて幸せな気持ちになった。
僅かなあの時間だけが唯一彼女の「幸福な時」だとしたら、それをあんな形で壊した母親の身勝手さには本気で憤りを感じた。
母親も、祖母も、多々羅も、記者も何をしてんだよ‼️となった。
あと、シェルターの隣の女も腹が立った。どんなことがあろうと我が子の手を離すんじゃないよ‼️
大人たちから辛いことばかり擦り付けられ生きた杏の人生を考えると本当に虚しくなった。
何処かで誰かがこんなに辛い目にあっているかもしれない。
虐待のニュースを見る度、この作品と重なってしまいそうだ。